エイプリル・フールでもないしイグノーベル賞の発表も終わったのに何の冗談か、と思われたかもしれませんが、英インペリアル・カレッジとロンドン大学クイーン・メアリー校の研究者らがAdvanced Materials誌で発表した真っ当な論文です。SJNニュースさんが日本語で内容を紹介されています。
- 「音楽を聞かせると太陽電池の出力が上がる。クラシックよりポップスのほうが効果的」英研究チーム (2013年11月7日・SJNニュース)
- 論文 ⇒ Shoaee, S., Briscoe, J., Durrant, J. R. and Dunn, S. (2013), Acoustic Enhancement of Polymer/ZnO Nanorod Photovoltaic Device Performance. Adv. Mater.. doi: 10.1002/adma.201303304 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
上のリンク先を読んでいただくと分かりますが、論文の主題は、圧電材料である酸化亜鉛ナノロッドを使った太陽電池の出力に、外部の音響振動による圧電効果が影響を与えることが確認されたというものです。実験では主に単一周波数の電子音が用いられていて、クラシックかポップスかという話は、論文の末尾近くで以下のようにさらりと書かれています。
On a lighter note, the response of the devices to a variety of acoustic conditions was investigated by playing a variety of different types of music during testing, rather than single frequency signals as used above. It was found that the efficiency enhancement was most pronounced for pop rather than classical music, most probably due to the increased amplitudes of higher frequencies typically present in electronically synthesised music.
実験のついでに、ちょっとした遊び心でやってみたのかもしれません。しかし、SJNニュースさんの記事にも引用されているインペリアル・カレッジの発表資料は、普通なら何気なく読み流してしまうこのパラグラフをクローズアップすることで、読者が思わず身を乗り出すような効果を上げています。なかなかうまい広報ですね。