向山光昭博士らによる「向山アルドール反応」の初報(1973年)から40周年にあたる今年、さまざまな記念行事や総説の出版を通じて、同反応がその後の化学にもたらしたインパクトを回顧する動きが見られました。この記念イヤーの締めくくりとして、Asian Journal of Organic Chemistryから「向山アルドール反応40周年」記念特集号が発行されました。
- 同号の目次: Table of Contents: Special Issue: 40 Years of the Mukaiyama Aldol Reaction, 1973–2013 (November 2013, Volume 2, Issue 11)
- 同誌の編集幹事Richard ThrelfallによるEditorial: Threlfall, R. (2013), Editorial: Forty Years and Counting. Asian Journal of Organic Chemistry, 2: 888–889. doi: 10.1002/ajoc.201300207
この特集号は、過去40年間に多彩な進化を遂げた向山アルドール反応による最新の成果を報告する論文を集めています。向山博士の薫陶を受けた日本人化学者を含めて、内外の著名な有機化学者からの寄稿された充実度の高い特集号となっています。(2013年末まで無料公開)
右上の表紙を飾る赤い実のついた木はタイヘイヨウイチイ(pacific yew)で、この木の樹皮から抗がん剤タキソールが得られることが知られています。向山博士ご自身が向山アルドール反応を駆使してタキソールの全合成に成功した(1999年)という縁から、この木の写真が本号の表紙に採用されました。