慶應義塾大学理工学部・千田 憲孝教授、佐藤 隆章専任講師らは、このほどN-メトキシアミド基による官能基選択的反応を利用したゲフィロトキシン全合成をAngewandte Chemie International Edition (ACIE) で報告、この論文は同誌の注目論文VIP (Very Important Paper) に選ばれました。
- 論文 ⇒ Shirokane, K., Wada, T., Yoritate, M., Minamikawa, R., Takayama, N., Sato, T. and Chida, N. (2013), Total Synthesis of (±)-Gephyrotoxin by Amide-Selective Reductive Nucleophilic Addition. Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201308905
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ゲフィロトキシン(gephyrotoxin)は熱帯に生息するヤドクガエルの皮膚分泌物中に含まれる神経毒アルカロイドで、岸義人, D. J. Hart, L. E.Overmanの各氏がそれぞれ30年以上前に全合成を達成しています。しかし、それらの先駆的な全合成では保護基の着脱が何度も必要とされるため、長工程を要しまた収率の低下を招いていました。
千田教授らのグループは、N-メトキシアミド基を用いて還元的求核付加反応を官能基選択的に進行させることにより、保護基の使用を最小限に抑える合成法を開発しました。その結果、14工程・総収率9.4%と、これまでで最短工程・最高収率でのゲフィロトキシン全合成に成功しました。
■ ACIEでは、二人の査読者が特に重要性を認めた論文をVIP (Very Important Paper)に選んでいます。
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