2012年に世界初のヒバリマイシノン全合成達成を報告した早稲田大学 竜田邦明 栄誉フェロー・名誉教授と同・先進理工学部 細川 誠二郎准教授は、この全合成達成に至る過程を自ら解説するPersonal AccountをThe Chemical Record誌で発表しました。
- 論文 ⇒ Tatsuta, K. and Hosokawa, S. (2013), Total Synthesis of Hibarimicinone, a v-Src Tyrosine Kinase Inhibitor Possessing the Pseudo-Dimer Structure of Tetracycline. Chem. Rec.. doi: 10.1002/tcr.201300020
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ヒバリマイシノンは、富山県 射水市 戸破(ひばり)の土壌から得られた菌の培養液から単離された生理活性天然物で、細胞のがん化に関わるタンパク質v-Srcチロシンキナーゼを強く阻害する性質を持ちます。竜田名誉教授・細川准教授らは、チオラクトン二量体を用いたMichael–Dieckmann型環化反応を軸にして、八環式骨格を持つヒバリマイシノンの合成に成功しました。今回のPersonal Accountでは、全合成達成までの難所を乗り越えるために採られた戦略が詳しく紹介されています。