東京大学大学院工学系研究科・橋本 和仁教授、中西 周次准教授らは、シアノバクテリア(藍藻)の概日時計の電気化学的制御に成功し、それを報告した論文がAngewandte Chemie International Edition (ACIE) のHot Paperに選ばれました。この論文は、掲載号の表紙を飾る予定です。(右画像)
- 論文 ⇒ Lu, Y., Nishio, K., Matsuda, S., Toshima, Y., Ito, H., Konno, T., Ishihara, K., Kato, S., Hashimoto, K. and Nakanishi, S. (2014), Regulation of the Cyanobacterial Circadian Clock by Electrochemically-Controlled Extracellular Electron Transfer. Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201309560
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海外旅行時にいわゆる時差ボケの原因ともなる「体内時計」(概日時計)は、人間だけでなく多くの動物・植物・細菌類にも備わっていることが知られています。概日時計の働く仕組みは完全に分かっていませんが、細胞内の酸化還元状態の変化が概日時計に影響を与えることが最近の研究で明らかになってきました。
橋本教授らは、生物細胞が外部と電子をやり取りする「細胞外電子移動」(extracellular electron transfer, EET)に注目し、シアノバクテリアの一種を用いた実験を通じて、細胞内の酸化還元状態を細胞外から電気化学的に変化させることによって概日時計を制御できることを確認しました。概日時計の電気化学的制御として初めての成功例で、同じ手法が他の生物種にも有効であることが予想され、概日時計の機構の解明につながることが期待されます。
■ ACIEでは、急速な展開によって注目を集めている分野における研究で、編集委員が特に重要性を認めた論文をHot Paperとしています。
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