発生生物学ではショウジョウバエをモデル生物として広く用いていますが、蛍光顕微鏡で観察するために蛍光材料を注射や遺伝子操作によって体内に組み込んだり、MRIで撮影したりする作業は、いずれも手間がかかり容易ではありませんでした。
化学ニュース配信サイトChemistry Viewsによると、Indian Institute of TechnologyのSabyasachi Sarkarらは、このほどSmall誌に発表した論文で、木のくずから作った水溶性のカーボンナノオニオンをショウジョウバエの餌に混ぜて、蛍光材料を体内に取り込ませることに成功したことを明らかにしました。これまでの方法と比べてはるかに容易であり、また生体に対して悪影響を与えず、正常に子孫を残させることができるとのことです。今後は他の生物への応用も期待できます。
⇒ Ghosh, M., Sonkar, S. K., Saxena, M. and Sarkar, S. (2011), Carbon Nano-onions for Imaging the Life Cycle of Drosophila Melanogaster. Small. doi: 10.1002/smll.201101158
ソース記事: Chemistry Views: Feeding Fruit Flies So They Fluoresce