<論文紹介> 基質中の不純物が触媒性能に大きな影響|閉環メタセシス反応を例に検証 (ChemCatChem)

ChemCatChem独ロストック大学などの研究グループは、ルテニウム錯体を触媒に用いたジアリルマロン酸ジエチルの閉環メタセシス反応において、基質に含まれる不純物が反応に与える影響を、純度の異なる試料を使って検証しました。実験の結果、微量の不純物の存在が触媒性能を予想外に大きく左右することを示すことが分かり、同グループはその結果を触媒化学の専門誌ChemCatChemで報告しました。

同グループは、ジアリルマロン酸ジエチルの試料5種(メーカーおよびロットの異なる製品と、独自に精製したもの)を成分分析したうえで、それぞれを基質に用いて反応を実行しました。反応収率は、純度の最も低い試料A(純度92.2%)で68%、2番目に低いB(98.8%)で97%と高く、一方最も高純度のE(99.99%)では28%、それに次ぐD(99.3%)で29%と、純度の低い試料を用いたときに収率が高くなる傾向を示しました。選択性についても同様の傾向が見られました。

試料Bに不純物として含まれていた1,2-ジブロモシクロヘキサンを最高純度のEに添加したところ、収率・選択性が大幅に改善し、Bの水準に迫るようになりました。同グループでは、この結果を微量の不純物が触媒性能に大きく影響する実例と考え、実験に際してこの問題を見逃さないよう注意を促しています。

■ この論文をはじめWiley Online Library上の論文は、進化したHTML「Anywhere Article」でお読みいただけるようになりました。詳しくは下のバナーからリンク先記事をご覧下さい。
Anywhere Article

カテゴリー: 論文 パーマリンク