ドイツの錬金術師Hennig Brandが1669年に自分の尿を蒸発させる実験によって発見したリン (phosphorus) は、発見の記録が史料として残る最古の元素と言われています。その後の長い歴史を通じて、リンは主に肥料の原料として使われ大きな役割を果たしてきたほか、農薬・殺虫剤、さらに自動車用のエンジンオイルやリチウムイオン電池など多岐にわたって利用されている重要な元素です。
このほど発行された European Journal of Inorganic Chemistry (Eur JIC) の2014年4月号 (Volume 2014, Issue 10) は、このリン化学をテーマに取り上げる特集号です。リンの活性化と官能基化、新規なホスフィンおよびリン化合物配位子、リン複素環などリンを含む多重結合化合物といった多彩な主題を扱うMicroreview 1報、Short Communication 5報、Full Paper 24報を収載しています。
同号の収録内容を読む
- 目次: Special Issue: Advances in Phosphorus Chemistry (一部の例外を除き、収載論文の本文を読むにはアクセス権が必要です)
- 本号の客員編集長Maria Caporali研究員(イタリアICCOM-CNR)によるEditorial: Phosphorus Chemistry (無料公開)
- リン資源のリサイクルと環境に配慮した使用についてのエッセイ: Schipper, W. (2014), Phosphorus: Too Big to Fail. Eur. J. Inorg. Chem., 2014: 1567–1571. doi: 10.1002/ejic.201400115