2次元シート状の炭素材料グラフェンを極細の幅に切り出したグラフェンナノリボンは、次世代の半導体材料として期待を集めています。しかし従来の合成法には、超高真空の環境が必要、収率が低い、幅の制御が困難といった難点があり、画期的な合成法の開発が求められていました。
京都大学エネルギー理工学研究所の坂口 浩司教授、中江 隆博助教らは、低真空下にもかかわらず従来法の10倍という画期的な効率でグラフェンナノリボン(アームチェアエッジ型)を合成することのできる「ラジカル重合型-化学気相成長法」を新たに開発、Advanced Materials誌で報告しました。この方法では、1 nmに満たない超極細のナノリボンの幅を制御することが可能で、理論的に予測されていた3種類の幅のグラフェンナノリボンをすべて合成することに初めて成功しました。これまで困難がつきまとったグラフェンナノリボンの合成を飛躍的に効率化させることができ、物性の研究および太陽電池などへの応用の進展につながることが期待されます。
- 論文 ⇒ Sakaguchi, H., Kawagoe, Y., Hirano, Y., Iruka, T., Yano, M. and Nakae, T. (2014), Width-Controlled Sub-Nanometer Graphene Nanoribbon Films Synthesized by Radical-Polymerized Chemical Vapor Deposition. Adv. Mater.. doi: 10.1002/adma.201305034 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
- 京都大学の発表資料 ⇒ 超極細ナノ炭素細線の画期的高効率合成法を開発 -高効率太陽電池への応用に期待- (2014年4月8日)
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