フィンランド技術賞財団(TAF)は4月9日、2014年ミレニアム技術賞の受賞者が物理学者で米IBMフェローのスチュアート・パーキン (Stuart Parkin) 氏に決まったことを発表しました。ミレニアム技術賞は、生活の質の向上をもたらす技術革新に対してフィンランド政府などが隔年で贈る権威ある賞で、前回2012年にはiPS細胞の開発により京都大・山中伸弥教授も受賞者となっています。授賞式は5月7日にヘルシンキで行われる予定で、パーキン氏には賞金100万ユーロ(約1億4千万円)が贈られます。
ソース
- Stuart Parkin receives 2014 Millennium Techology Prize (April 23, 2014, Materials Views)
- 物理学者、スチュアート・パーキン氏が2014年ミレニアム技術賞を受賞 (April 10, 2014, フィンランド大使館サイト)
パーキン氏は、電子の電荷とスピンを工学的に利用するスピントロニクスと呼ばれる技術の先駆者で、ハードディスクの磁気再生ヘッドに用いられる素子「スピンバルブ」の開発につながる技術の発見(1989年)により、記憶容量をそれまでの1千倍に増加させることに成功しました。その後のPCの普及と性能向上、また近年のソーシャルメディア、動画・音楽配信、クラウドサービス、ビッグデータ管理といった重要な技術は、大量のデータ記憶が低コストで可能でなければ実現しなかったことを考えると、パーキン氏の発見が私たちの生活に与えた影響の大きさに改めて気づかされます。