有機合成にきわめて有用な変換反応として広く研究されている森田・ベイリス・ヒルマン(MBH)反応ですが、通常の条件下では反応速度が非常に遅い(1日~数日)、触媒や基質を多く必要とするなどの欠点があります。これらの欠点をどのように克服するかが研究上の重要な課題となっています。
岡山大学大学院自然科学研究科・菅 誠治教授の研究室は、アセトン中での分子内森田・ベイリス・ヒルマン反応が、求核触媒(DMAP, PPY, PBu3)とチオ尿素触媒の併用によって迅速(数時間)かつ高収率で進行するようになることを初めて明らかにしました。より広範なMBH反応への応用が期待されるこの発見は、Asian Journal of Organic Chemistry (AJOC) の「有機分子触媒」特集号((客員編集長: 京都大・丸岡 啓二教授)で報告されるとともに、化学ニュースサイトChemistry Viewsで注目論文として紹介されました。
- 紹介記事 Two Catalysts for Reactions on the Double (May 5, 2014, Chemistry Views)
- 論文 Mandai, H., Shimowaki, K., Mitsudo, K. and Suga, S. (2014), Remarkable Enhancement of the Rate of the Intramolecular Morita–Baylis–Hillman Reaction by the Combination of a Nucleophilic Catalyst and 1,3-Diphenyl-2-thiourea. Asian Journal of Organic Chemistry, 3: 437–441. doi: 10.1002/ajoc.201402001 (本文を読むにはアクセス権が必要です)