中国科学院物理化学技術研究所のTierui Zhang教授らのグループは、有機硫黄化合物チオールで被覆した金・白金などのナノ粒子に、有機溶媒中でUV(紫外線)を照射することによって自己集合が起こり、カプセル状のナノ小胞(ナノベシクル)が形成されることを明らかにしました。無機ナノ粒子の自己組織化はこれまでも活発に研究され、さまざまな手法が開発されてきましたが、今回の方法は従来のものよりも容易に行うことができるのに加え、元のナノ粒子の大きさなどの条件を変えることによって、小胞のサイズ(最小で50 nm以下)やナノ粒子が作る膜の厚さをコントロールすることができます。
形成された小胞は、中空構造のおかげで、触媒能などにおいてすぐれた性質を示します。例えばこの方法によって得られたCdSe(セレン化カドミウム)ナノ小胞は、光吸収特性の改善により元のCdSeナノ粒子と比べて光触媒効率が50%高くなり、また安定性も向上することが実験で確認されました。さまざまなナノ粒子に適用可能なこの手法は、触媒やドラッグデリバリーなど幅広い分野への応用が期待されます。
この成果は、、Advanced Materials誌で報告されました。
- 論文 Bian, T., Shang, L., Yu, H., Perez, M. T., Wu, L.-Z., Tung, C.-H., Nie, Z., Tang, Z. and Zhang, T. (2014), Spontaneous Organization of Inorganic Nanoparticles into Nanovesicles Triggered by UV Light. Adv. Mater.. doi: 10.1002/adma.201401182 (本文を読むにはアクセス権が必要です)