<論文紹介> 南カリフォルニア大学のChriste教授らがシアン化ニトロイル (NCNO2) の合成に初めて成功、高エネルギー密度物質としての応用に期待 (ACIE・VIP)

Angewandte Chemie International Edition南カリフォルニア大学のKarl O. Christe教授らのグループは、シアン化ニトロイル (NCNO2) の合成に初めて成功し、その性質を明らかにしました。

NCNO2の合成には、過去にミュンヘン大学のKlapötke教授らが挑んできましたが、これまで成功例は報告されていませんでした。Christe教授らは、反応条件を緻密に制御するとともに反応中の副生成物を丹念に除去することにより、初めての合成を達成しました。(Christe教授は、1986年にも化学的方法によるフッ素単離に初めて成功するという業績を上げています)

計算の結果、NCNO2の生成熱は50.7 kcal/mol と推定され、分子量の小ささに対して非常に高い値を示しました。酸素バランスも高いことから、NCNO2は高エネルギー密度物質(High Energy Density Material = HEDM) として、またそのビルディングブロックとしての応用可能性が期待されます。

この成果を報告した論文は “Nitryl Cyanide, NCNO2″ という簡潔な表題とともに Angewandte Chemie International Edition (ACIE) に掲載され、同誌の注目論文VIP (Very Important Paper) に選ばれました。

  •  論文  ⇒ Rahm, M., Bélanger-Chabot, G., Haiges, R. and Christe, K. O. (2014), Nitryl Cyanide, NCNO2. Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201404209 (本文を読むにはアクセス権が必要です)

■ ACIEでは、二人の査読者が特に重要性を認めた論文をVIP (Very Important Paper)に選んでいます。
 ⇒ 最近VIPに選ばれた論文

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