九州大学の小江誠司教授らの研究グループは、名古屋大学のグループとの共同研究により、燃料電池のアノードとして現在広く用いられている白金触媒の能力を大幅に上回る水素酵素(ヒドロゲナーゼ)「S-77」電極の開発に成功しました。
金属酵素ヒドロゲナーゼは、電極触媒としての高い能力が期待されていましたが、燃料電池への応用には酸素に対する不安定さが障害となっていました。小江教授らのグループは、阿蘇山で発見したヒドロゲナーゼ S-77 が酸素に対して安定なことを発見し、それを用いて開発したアノード触媒が白金電極の637倍の質量活性を示すなど非常に優れた性能をもつことを明らかにしました。
稀少で高価な白金に代わる電極素材の開発は現在ホットな研究分野となっていますが、その中で今回の発見は重要な成果として注目されます。この成果は、Angewandte Chemie International Edition (ACIE) で報告されました。
- 九州大学の発表資料 燃料電池の白金電極を超える水素酵素「S–77」電極の開発に成功(白金の637倍の活性) (PDF・2014年6月4日)
- 論文 ⇒ Matsumoto, T., Eguchi, S., Nakai, H., Hibino, T., Yoon, K.-S. and Ogo, S. (2014), [NiFe]Hydrogenase from Citrobacter sp. S-77 Surpasses Platinum as an Electrode for H2 Oxidation Reaction. Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201404701 (本文を読むにはアクセス権が必要です)