有機合成はアート / Henning Hopf教授を魅了する芳香族化合物のユニークな構造の数々(The Chemical Record誌エッセイ・無料公開)

Hopf教授の自宅の壁を飾る、お気に入りの分子構造の数々(エッセイから転載)

Hopf教授の自宅の壁を飾る、お気に入りの分子構造の数々(エッセイから転載)


来年2015年は、ドイツの化学者アウグスト・ケクレ (August Kekulé, 1829-1896) が1865年にベンゼンの六員環構造(ケクレ構造)を提唱してから150年目となる、有機化学の記念イヤーにあたります。その年を前に、ケクレを科学上のヒーローの一人と崇める独ブラウンシュヴァイク工科大学有機化学研究所のHenning Hopf教授が、自分を魅了してやまないという芳香族化合物のユニークな構造について論じるエッセイをThe Chemical Record誌に寄稿しました。不飽和炭化水素に関する研究・著作で知られる同教授は、このエッセイで線状アセン、Angular型アセンに始まりシクロファン、アンヌレンを経て分子ベルト、お椀型化合物までの構造を取り上げ、それぞれの合成法を中心に研究史を振り返っています。

このエッセイの締めくくりでHopf教授は、興味深い分子構造を構想し合成によって実現する化学の営みをアートに例えています。実際に同教授は、自分の好きな芳香族化合物の構造を画像化して、自宅の壁に絵画のように飾っているそうです。上の写真がそれですが、まさに美術館の趣があります。

The Chemical Record

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