理化学研究所統合生命医科学研究センターの遠藤高帆 上級研究員は、理研・小保方晴子ユニットリーダーらがNature誌に掲載した「STAP細胞」関連論文の基になった遺伝子配列データの再解析を行い、その結果をまとめた論文を日本分子生物学会の英文誌 Genes to Cells で発表しました。
この論文で遠藤上級研究員は、STAP細胞論文とともに公開されたマウスの遺伝子配列データに対して、メッセンジャーRNA (mRNA) の塩基配列中の「一塩基多型」(single nucleotide polymorphism, SNP) と呼ばれる変異を解析する独自の手法を適用しました。小保方氏らの論文では、STAP細胞は新生児マウスの細胞から作られたとされていましたが、解析の結果、STAP細胞にはマウスの死産を招くはずの「8番トリソミー」という染色体異常があったことが分かりました。遠藤上級研究員は、今回の解析から得られた他の証拠も考慮して、STAP細胞とされたものは実際にはES細胞と非常に類似した性質をもつ培養細胞であったと結論づけています。
- 論文 ⇒ Endo, T. A. (2014), Quality control method for RNA-seq using single nucleotide polymorphism allele frequency. Genes to Cells. doi: 10.1111/gtc.12178
(2014年12月31日まで無料公開)追記: 無期限のオープンアクセスになりました(2014年10月8日)