<論文紹介> 色素を使わず目にやさしいカラコン「構造色コンタクトレンズ」の開発に成功 (Small)

eyeカラーコンタクトレンズ(カラコン)は、瞳の色を変える、瞳を大きく見せるといった効果があるため、若い人たちに人気の高いファッションアイテムとなっています。しかし、特に粗悪なカラコンは、着色に使われた色素が表面に露出し、目の表面にある角膜を傷つけて感染症などを招くことがあり、しばしば問題になっています。

このほど中国・東南大学のZhongze Gu教授らのグループは、色素を使わない発色原理「構造色」を使ったカラコンの開発に成功し、その成果をSmall誌で報告しました。

Small

構造色は、表面の微細構造が作る光の干渉によって発色するもので、自然界ではタマムシやモルフォ蝶の羽、貝殻の内側など、また人工物ではCD・DVDの裏の虹色の面に見られます。Gu教授らは、レンズを成形するための型の表面に、二酸化ケイ素(SiO2)のナノ粒子を規則的に配列した「コロイド結晶」を付着させました。そこにソフトコンタクトレンズの材料であるハイドロゲルを流し込んで成形すると、レンズの表面に細孔が作られ、それによって鮮やかな構造色を示しました。レンズの色はSiO2ナノ粒子の大きさを変えることによって制御可能とのことです。また、細孔をもつレンズの表面が細胞に対して無害であることも確認されました。

CDの裏面を見ながら動かしてみると分かるように、構造色は見る角度によって色が変わる性質をもちます。今回の構造色カラコンもその特徴を受け継いでいるそうで、実際に人が付けているとどんな風に見えるなのか興味深いですね。

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