モーリス・ルーセル(Maurice Roucel)氏はシャネル社の化学者として香水業界に入ったのち、数々のブランドでヒット作を世に送ってきた世界的に著名な調香師です。そのルーセル氏が、自らの代表作を例に、香水の世界に革新をもたらした新しい芳香分子を解説するサーベイ論文をChemistry & Biodiversity誌に寄稿しました。
その中でルーセル氏は、DKNYのBe Delicious (2004)で用いたundecavertol、ゲランの Insolence (2006)に使った nerolione と coumarone、ロシャスのRochas Man (1999)に特徴的なコーヒーの香りを与えた levistamel など、それまでの香水になかった斬新な香りを実現した芳香分子を取り上げ、それぞれの香りの性質や自分の作品での使われ方などを論じています。香水開発の第一人者自身による解説として注目されます。
- 論文 ⇒ Roucel, M. and Grau, F. (2014), The Importance of New Molecules in Selective Perfumery. Chemistry & Biodiversity, 11: 1462–1469. doi: 10.1002/cbdv.201400139 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
- 関連書
Scent and Chemistry - The Molecular World of Odors
Gunther Ohloff, Wilhelm Pickenhagen, Philip Kraft
ISBN: 978-3-90639-066-6
Paperback / 350 pages / December 2011
US$ 105.00