フラーレンの一部を6員環を中心にして切り取った構造をもつボウル型分子スマネン sumanene は、2003年に大阪大学大学院工学研究科の平尾 俊一教授、櫻井 英博助教授(現教授)らが初めて合成に成功しました。その後スマネンの研究は、平尾教授をはじめとする日本の研究室がリードする形で、各国で活発に行われてきました。現在スマネンは、電子材料や触媒としての応用が期待され、そのために安価で効率的な合成法を開発することが研究上の焦点になっています。
平尾教授は、このほど雨夜 徹助教とともにスマネンの化学に関する総説(Personal Account)をThe Chemical Record誌に発表しました。スマネンの合成法・構造・性質・誘導体化といった主題を取り上げ、自身の研究とともに日本および各国の研究室による主要な成果を紹介しています。スマネン研究のこれまでの展開と最新状況が分かる総説としておすすめします。
- 論文 Amaya, T. and Hirao, T. (2014), Chemistry of Sumanene. Chem. Rec.. doi: 10.1002/tcr.201402078 (本文を読むにはアクセス権が必要です)