先の記事でもお知らせした通り、Chemistry – An Asian Journal は来年2015年、創刊十年目の記念イヤーを迎えます。2006年に日本化学会を含むアジア太平洋地域の13化学会の連合体 The Asian Chemical Editorial Society (ACES)とWiley-VCHが共同で創刊した同誌は、2013年インパクトファクター3.935という、アジアを代表する高インパクトの化学誌に成長しました。
創刊十周年記念号として発行された2015年1月号(Volume 10, Issue 1)のEditorialでは、エディターのTheresa Kueckmann博士が、出版論文数の面から見た同誌の発展を振り返っています。
- 記事を読む Kueckmann, T. (2015), A Reason to Celebrate!. Chem. Asian J., 10: 4–5. doi:10.1002/asia.201403344
同誌の年間出版論文数は、創刊1年目(2006年)の94報から、9年目の2014年には473報まで増えました。その主な要因となったのが、中国からの論文の増加です。2006年にわずか9報、全出版論文中のシェア10%弱に過ぎなかった中国発の論文は、今年2014年には合計205報、シェア43%を占めるに至りました。下のグラフからは、中国以外のアジア地域(下図の”ACES without China”)や欧州からの論文も順調に増加していますが、それを大きく上回る勢いで中国発の論文が増えていることが分かります。
そのほか今回の十周年記念号は、同誌で創刊以来多くの論文を出版してきた研究者・研究室の成果を中心に掲載しています。その中でも上記Editorialは、大阪大学・福住 俊一教授のLi+@C60錯体での電荷分離に関する総説を注目論文のひとつに挙げています。
また同号の表紙(右上)は、創刊からの各号の表紙のコラージュになっていますが、そのうち創刊号の表紙を飾ったのが京都大学・北川進教授らによる総説“Polymerization in Coordination Nanospaces”でした。(右画像) このように創刊時から日本の化学界と深く関わってきた同誌の今回の記念号を、ぜひご一読下さい。