<論文紹介> 有機アルミニウム試薬を用いた直接的クロスカップリング反応 / 東京大・内山真伸教授らが開発、外部触媒を使わず加熱だけで進行 (ACIE VIP)

Angewandte Chemie International Edition東京大学大学院薬学系研究科・内山 真伸教授(理研主任研究員兼務)、王 超 JSPS外国人特別研究員らのグループは、有機アルミニウム試薬(ArAlMe2⋅LiCl)と有機ハロゲン化物による新しい直接的クロスカップリング反応の開発に成功し、Angewandte Chemie International Edition (ACIE) で報告しました。この論文はACIEの注目論文VIP (Very Important Paper)に選ばれました。

有機アルミニウム試薬を用いたクロスカップリング反応は長い歴史を持ち、初報は根岸英一教授らが有機アルミニウム試薬とパラジウム触媒によるクロスカップリング反応を開発した1976年まで遡れます。しかしその後、クロスカップリング反応の研究は有機ホウ素、有機亜鉛などを用いた反応が主流になったのに対し、有機アルミニウムを用いた反応は目立たない存在となっていました。

今回内山教授らは、アリールアルミニウム化合物(ArAlMe2⋅LiCl)と有機ハロゲン化物から、外部触媒を用いずに加熱するだけで直接的クロスカップリング反応がスムーズに進行することを発見しました。反応はヨウ化アリール、臭化アリール、ヨウ化アルケニル、塩化アルキニルといった幅広い種類の有機ハロゲン化物で確認され、高い化学選択性・立体選択性が示されました。クロスカップリング反応の新しい可能性を開く発見として注目されます。

■ ACIEでは、二人の査読者が特に重要性を認めた論文をVIP (Very Important Paper)に選んでいます。
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