2014年10月30日に68歳で亡くなった有機化学者・香月 勗 (かつき つとむ)九州大学名誉教授の追悼記事が、ドイツ化学会の公式誌 Angewandte Chemie International Edition (ACIE) に掲載されました。記事を寄せたのは、香月教授が博士研究員時代に師事したバリー・シャープレス教授(2001年ノーベル化学賞受賞)らです。
- 記事を読む Sharpless, K. B., Finn, M. G. and Martín, V. S. (2015), Tsutomu Katsuki (1946–2014). Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201501065 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
香月教授は、1979年に博士研究員として米スタンフォード大学のシャープレス教授研究室に加わり、シャープレス・香月不斉エポキシ化反応を発見しました。今回の追悼記事の中で「化学コミュニティに直ちにセンセーションを巻き起こした」と形容されているこの発見は、のちにシャープレス教授にノーベル賞受賞をもたらす大きな要因ともなりました。1981年に帰国した香月教授は、九州大学理学部で長年活躍し、金属錯体触媒を用いた不斉酸化反応を中心に多大な研究成果を残しました。シャープレス教授らは今回の追悼記事で、香月教授の主要な業績を紹介するとともに、該博な知識を持ちながらフレンドリーで謙虚な人柄を保ち続けた同教授の人物像を描いています。