東京大学大学院工学系研究科・大久保 達也教授の研究室と三菱化学などによる研究グループはこのほど、チューブ状リアクターを用いて高温で急速加熱を行うとともに、SSZ-13のシード(種結晶)を使用して結晶生成を促進する新しい合成法を開発し、それによってSSZ-13をわずか10分間で合成することに成功しました。さらに同グループは、この方法を用いて、従来のバッチ式よりも効率的に合成を行える連続フロー式のリアクターを開発しました。
この方法で合成されたSSZ-13でNOx除去を試みたところ、数日間を要する従来の合成法によるものに劣らない性能をもつことが確認されました。SSZ-13の普及拡大につながるとともに、ほかの有用なゼオライトの合成にも応用が期待できる成果として注目されます。
この成果を報告した論文は、Angewandte Chemie International Edition (ACIE)に掲載され、同誌の注目論文Hot Paperに選ばれるとともに、化学ニュースサイトChemistry Viewsで紹介されました。
- 論文 Liu, Z., Wakihara, T., Oshima, K., Nishioka, D., Hotta, Y., Elangovan, S. P., Yanaba, Y., Yoshikawa, T., Chaikittisilp, W., Matsuo, T., Takewaki, T. and Okubo, T. (2015), Widening Synthesis Bottlenecks: Realization of Ultrafast and Continuous-Flow Synthesis of High-Silica Zeolite SSZ-13 for NOx Removal. Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201501160 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
- 紹介記事 Fastest Synthesis of a Zeolite (April 16, 2015, Chemistry Views)
■ ACIEでは、急速な展開によって注目を集めている分野における研究で、編集委員が特に重要性を認めた論文をHot Paperとしています。
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