これまでの研究により、体内で概日リズムを調節するメカニズムを司る複数のタンパク質(時計タンパク質)が特定されました。中でもクリプトクロム(CRY)は特に重要な時計タンパク質で、このCRYの活性を制御できれば、概日リズムの仕組みの解明に役立つだけでなく、それに関わる疾患の治療に応用できる可能性があります。
名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所 (ITbM)の廣田 毅特任准教授、Anupriya Kumar博士研究員、Steve A. Kay教授らのグループは、先に発見したCRYを安定化させ概日リズムの周期を長くする小分子KL001を基にして、その一部を改変したさまざまな分子(誘導体)を合成し、その中のひとつKL044がKL001をはるかに上回る強力なCRY安定化作用をもつことを明らかにしました。概日リズムのさらなる解明と応用に資することが期待されるこの成果は、このほどChemMedChem誌で論文として報告されました。
- 論文 Lee, J. W., Hirota, T., Kumar, A., Kim, N.-J., Irle, S. and Kay, S. A. (2015), Development of Small-Molecule Cryptochrome Stabilizer Derivatives as Modulators of the Circadian Clock. ChemMedChem. doi: 10.1002/cmdc.201500260 (オープンアクセス)