立教大学理学部化学科・未来分子研究センター 入江 正浩特任教授らの研究グループは、光に反応して曲げ伸ばしの動作を繰り返す光駆動アクチュエータに関する論文を、このほどAngewandte Chemie International Edition (ACIE)で発表しました。Wiley-VCHとChemPubSoc Europe(欧州の16化学会の連合体)による化学ニュース配信サイト Chemistry Views が、その内容を紹介しています。 ⇒ Bow Down to the Light
光応答性分子材料であるジアリールエテン誘導体は、特定の波長の光を受けると構造が変化する性質を持っています。それを利用した今回のアクチュエータは、種類が異なるジアリールエテン誘導体を組み合わせて細長い棒状に作られ、紫外線が照射されるとその方向に曲がり、可視光線を受けるとまっすぐに戻る動きを示します。光に対する反応は素早く、また低温下での動作や高い耐久性が確認されました。
同様に曲げ伸ばしの動きを示すアクチュエータに、圧電素子によるものがありますが、光駆動アクチュエータは通電のための配線が不要で、水中にも設置できるなどの利点を持ちます。今後はマイクロロボットやナノマシンへの応用が期待されます。
Terao, F., Morimoto, M. and Irie, M. (2011), Light-Driven Molecular-Crystal Actuators: Rapid and Reversible Bending of Rodlike Mixed Crystals of Diarylethene Derivatives. Angewandte Chemie International Edition. doi: 10.1002/anie.201105585
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