<記事紹介> 査読コメントに対応するとき、論文著者が心がけるべきポイントは?

Credit - zgr Donmaz/iStockphoto

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ジャーナルに論文を投稿してからしばらくは、採否の判定をやきもきしながら待たなくてはなりません。査読の結果リジェクトにならなければまずは一安心ですが、一回でアクセプトされることは珍しく、修正要求 (Major/Minor Revision) が付いて戻ってくるのが普通です。その際、時には手厳しい批判を含む査読コメントを目にすると、論文投稿の経験の浅い著者は動揺してしまいがちです。

Journal of Advanced Nursing および Nursing Open 誌の編集長Roger Watson教授(英ハル大学)は、WileyのブログExchangesへの寄稿で、査読コメントへの対応時に著者が心がけるべきポイントを解説しています。

リビジョンがMajorかMinorかというのは、多くの場合査読者が恣意的に選んだだけなので、区別を気にする必要はありません。どちらであっても、査読者による修正要求にはきちんと対応する必要があります。細かい指摘が延々と続く査読コメントを読むと思わずたじろいでしまうかもしれませんが、Watson教授は、そういったコメントは出版前に必要な修正を正確に指摘してくれているものとして前向きに受け止めたほうがいいとアドバイスします。

査読コメントに目を通して全体的な印象をつかめたら、まずはコメントをリストの形にまとめるようWatson教授は勧めています。リストは [ 連番|コメント|回答|ページNo. ] の4列構成にすると便利です。リストが用意できたら、最初にスペルミス・文法エラーなどの細かい修正を一通り片付けます。後に残るのは数少ない、しかし重要な修正になりますので、それらにじっくり取り組みましょう。

コメントへの回答のしかたについては、Watson教授は次の3点を挙げています。

  • Answer politely (礼儀正しく) … 査読者やエディターを侮辱することは絶対に避けるべきで、決してプラスになりません。査読者のコメント中に不適切な点があればエディターは削除するのが普通ですが、たとえエディターの目をすりぬけたとしても挑発に乗ることなく、指摘の実質的な内容に対して冷静に回答しましょう。
  • Answer completely (完全に) … 査読者の指摘に対しては、一つも漏らすことなく可能な限り丁寧に回答しましょう。必要な修正にはすべて応じるのが基本ですが、査読者間で意見の相違があったり、査読者の側に誤解があると思われる場合は、無視することなく礼儀をもって対応します。
  • Answer with evidence (根拠をもって) … 査読者のコメントに同意できない場合は、自分の主張を支持するエビデンスを提示します。エビデンスには出版済みの著作が最適です。
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