英サウサンプトン大学で超分子化学を研究する Stephen M. Goldup准教授らのグループは、このロタキサンと金原子の錯体を合成し、シクロプロパン化反応の触媒としての活性を調べました。その結果、ロタキサン-金錯体は単独では触媒能を全く示しませんが、銅・亜鉛などの金属イオンを補因子として添加すると、ゲスト結合によって触媒活性にスイッチが入り反応の進行が始まることを発見しました。さらに、添加する金属イオンの種類に応じて触媒活性と立体選択性(ジアステレオ選択性)が変化することも分かりました。
ロタキサン金属錯体が金属イオン添加のような外部刺激によって触媒活性を変える「刺激応答性触媒」としての性質を示すことは、今回が初めての報告例となります。触媒活性と立体選択性を任意に制御できる新規な触媒の開発につながるアプローチとして、今後の発展が期待されます。
- 論文 Galli, M., Lewis, J. E. M. and Goldup, S. M. (2015), A Stimuli-Responsive Rotaxane–Gold Catalyst: Regulation of Activity and Diastereoselectivity. Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201505464 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
- サウサンプトン大学の発表資料: Southampton chemists create switchable gold catalyst (September 23, 2015)