論文の採否は、査読者による多数決では決まらない? ジャーナルのエディターは査読者の判定をこう見ている

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多くのジャーナルは、投稿された論文の採否を決めるために、その主題に精通した研究者に評価を依頼する査読(ピアレビュー)を行います。その際、同じ論文の評価を複数の査読者(通常は2~3人)に依頼するのが普通ですが、査読者間でアクセプト/リビジョン/リジェクトといった採否判定が分かれることも珍しくありません。そのような場合に、最終的な採否の判断はどのように下されるのでしょうか? 米ロチェスター大学の副学長で看護学ジャーナルResearch in Nursing & Health誌の編集長を務めるMargaret H. Kearney女史は、WileyのブログExchangesへの寄稿で、エディターが査読者のコメントと判定をどのように見ているかを語っています。

論文の採否を最終的に判断するのは、ジャーナルのエディターです。Kearney女史の考えでは、査読者の判定(recommendation)は多数決の投票ではなく、エディターは必ずしも多数派の意見に従う必要はないし、それどころかどの査読者とも異なる判定を下して構わないと言います。Kearney女史は査読者のことを、それぞれの専門知識に基づいて助言を与えてくれるコンサルタントのような存在と見ています。同女史は、各査読者が投稿論文について指摘した問題点を一つずつ検討し、修正不可能なほど致命的な欠陥があるかどうかによって、リジェクトとリビジョンのどちらに判定するかを決めます。

エディターのもう一つの役割は、査読者のコメントを適切な形で論文著者に伝えられるよう介入することです。査読コメントには、時に不適切な表現も含まれ、エディターはそれを削除または修正した上で著者にフィードバックします。表現に問題のあるコメントを繰り返す特に悪質な査読者には、エディターがその旨を伝えて善処を図ります。また査読者のさまざまな修正指示が錯綜していてそのまま対応するのが難しい場合、エディターは著者にどのように優先順位をつけるべきかアドバイスします。Kearney女史は、もし論文著者がそのような状況に直面したら、エディターにアドバイスを求めるよう推奨しています。

査読者には具体的でなおかつ礼節を守ったコメントが期待されるのは当然ですが、一方で、張り切りすぎて自分の専門外の領域にまで無理に口出ししようとすることは避けた方が良さそうです。エディターは、依頼した各査読者の専門領域を把握しています。例えばある査読者が統計の専門家であれば、その人が論文の統計的側面について述べた意見をエディターは特に尊重しますが、あまり縁のない領域についての意見に対しては慎重に判断します。Kearney女史は査読者に対して、自分が論文の運命を一手に握っているかのように思いこまず、自分の専門領域を熟知したエディターから意見を求められた複数の判定者のひとりとして意識するよう求めています。

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