<論文紹介> 「おから」がナトリウムイオン電池の電極材料に / 中国のグループが報告、高容量・長寿命を実現 (Adv. Mater.)

Credit - IgorDutina/iStockphoto

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大豆から豆腐や豆乳を作った後に絞りかすとして残る「おから」は、炒り煮にして「卯の花」として食べられるほか、最近ではクッキーなどの材料にも使われる、タンパク質に富んだ食材です。しかし、そういった食べ方だけでは大量に発生するおからをすべて消費するにはほど遠く、一部が家畜の飼料に使われるほかは、多くが廃棄物として処分されてきました。そのおからが、将来は高価値な原料として脚光を浴びることになるかもしれません。

中国・蘇州大学の研究グループは、乾燥させたおからを熱処理で炭化させ、9.89%という高い割合で窒素を含むシート状の炭素材料「窒素ドープカーボンシート(NDCS)」を合成しました。このNDCSを新世代の蓄電池として注目されるナトリウムイオン電池の電極(負極)として用いたところ、292.2 mAh/gという高容量と2千回以上の充放電を繰り返してもほとんど性能が劣化しないすぐれたサイクル特性を示すことが分かりました。また、重量当たりの電力量を示すエネルギー密度は146.1 Wh/kgで、ハードカーボンなど従来の炭素材料を大きく上回りました。この成果は、このほどAdvanced Materials誌で報告されました。

Advanced Materials

ナトリウムイオン電池は、現在充電池の主流になっているリチウムイオン電池が高価な希少金属であるリチウムを使うのに対し、安価で豊富に存在するナトリウムを利用できるという大きな利点があり、近年盛んに研究されています。しかし性能的にはまだリチウムイオン電池に及ばず、安価で高性能・長寿命な電極の開発が実用化・普及に向けての鍵となっています。今回報告された技術は、これまで廃棄物となっていたおからの高価値な利用につながるものとして、今後の発展が期待されます。

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