論文のConclusionは要点のまとめだけではダメ? 化学誌エディターが教える書き方のコツ

How ToAsian Journal of Organic Chemistry (Asian JOC)のエディター Dr. Richard Threlfallが化学ニュースサイトChemistry Viewsで不定期連載している “Tips for Writing Better Science Papers” (良い論文を書くコツ) の最新記事が公開されました。今回は論文を締めくくるConclusion(結論)の書き方をアドバイスしています。

口頭発表の場合は、発表内容の要点を最後にまとめることに意義があります。聴衆は、発表者が前のスライドで言ったことを遡って聞き直すことができないからです。それに対して、いつでも前に戻って読み直せる論文では、少し前の段落で書いたことをConclusionでもう一度繰り返すだけでは、読者にとってあまり得るものはありません。それでは、Conclusionにはどのような内容を追加したらいいでしょうか?

Threlfall氏によると、Conclusionを研究結果の要約から書き始めるのはいいですが、多くのデータを盛り込もうとせず、本当に重要なポイント1つか2つに絞るべきです。次に、以下のような点について考えを簡潔に述べましょう。

  • 今回得られた結果は自分の予想通りだったか、予想と違ったならその理由は何か
  • 今回の結果から得られた洞察が他の研究に応用できるか
  • 今回の結果は従来の理論に疑問を投げかけるものか、あるいはこれまでの説を確認するものか

Conclusionの締めくくりでは、今回の研究結果を踏まえて次に何をするつもりかを書きましょう。その際、多くの論文でありがちなのは “The applications of this method are currently under investigation in our laboratory” のような一文ですが、もっと具体的に何をしようとしているのかを書くと読者に強い印象を与えられます。それに加えて、今回の結果のどのような点が次の課題において役立ちそうなのか、ここから将来どのような研究の発展が期待できるか、思いがけない展開が生じる可能性はあるかといった点も考えてみるとよさそうです。

カテゴリー: 一般 タグ: パーマリンク