<論文紹介> 名古屋大・石原 一彰教授らがケトン由来の光学活性α-シアノヒドリンの触媒的不斉合成法を開発 (ACIE)

Angewandte Chemie International Edition名古屋大学大学院工学研究科 石原 一彰教授、波多野 学准教授、山川 勝也博士後期課程1年生らのグループは、ケトンを原料にして光学活性α-シアノヒドリンを得る効率的な触媒的不斉合成法の開発に成功しました。光学活性α-シアノヒドリンは、化学変換可能な官能基としてヒドロキシ基とシアノ基を有するため、α-ヒドロキシカルボン酸やβ-ヒドロキシアミンをはじめ医薬品などの用途に用いられる有用な化合物に容易に変換できます。

アルデヒドよりも反応性の低いケトンから光学活性α-シアノヒドリンを合成するのは困難とされ、これまでに報告された合成法には、反応に1~2日間を要することや基質適用範囲の狭さ、スケールアップの困難といった課題がありました。石原教授らが今回報告した合成法は、新規に開発した2-ホスホリルフェノールのリチウム塩触媒を用いてケトンの不斉シアノシリル化を行うもので、反応時間を2~9時間に短縮、また広い基質一般性をもちスケールアップも可能と、これまでの課題を克服しています。

石原教授らの報告はAngewandte Chemie International Editionの電子版で先行公開され、また右上の画像が近く表紙に採用される予定です。

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