独ルール大学ボーフムのRobert Kourist教授らのグループは、酸化還元酵素エン酸レダクターゼ(ER)の遺伝子を、遺伝子組換えによって、光合成細菌であるシアノバクテリアの一種 Synechocystis sp. PCC 6803に導入しました。単細胞のシアノバクテリアは、植物や藻類と比べて遺伝子操作が容易という利点があります。この遺伝子組換えシアノバクテリアは、酵素ERを生産するとともに、補因子の助けを借りることなく、ERが必要とする化学エネルギーを光合成によって供給できます。
同グループは、このシアノバクテリアを用いた反応系で、ERを生体触媒として炭素-炭素二重結合の高収率・高選択的な不斉還元を実現しました。今回のアプローチは、補因子が不要で、また副生成物が発生しない環境にやさしい触媒反応を実現するものです。他のさまざまな反応にも応用可能性があり、多様な化合物の合成につながることが期待されます。
この成果を報告した論文はAngewandte Chemie International Edition (ACIE)に掲載され、同誌の注目論文Hot Paperに選ばれました。
- 論文 Köninger, K., Gómez Baraibar, Á., Mügge, C., Paul, C. E., Hollmann, F., Nowaczyk, M. M. and Kourist, R. (2016), Recombinant Cyanobacteria for the Asymmetric Reduction of C=C Bonds Fueled by the Biocatalytic Oxidation of Water. Angew. Chem. Int. Ed.. doi:10.1002/anie.201601200 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
- 独ルール大学ボーフムのプレスリリース RUB researchers use cyanobacteria for the production of chemicals (March 31, 2016)
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