日本原子力研究開発機構 (JAEA) 安全研究センターの高原 省五氏らの研究グループは、同事故による放射性セシウムで汚染された土を幼児が経口摂取した場合の内部被ばくリスクを評価しました。同グループの試算では、土壌に固着したセシウムは、水溶性ないしは食物中のセシウムとは違って胃から吸収されにくいため、幼児が汚染土を口から摂取した場合の内部被ばく線量は、摂取量を多めに見積もっても、他の要因による外部被ばく線量と比べて無視できる程度に留まることが示されました。
この結果をまとめた論文は、リスク分析学会 (The Society for Risk Analysis) の公式誌 Risk Analysis で2016年9月30日にオンライン公開されましたが、今月 (2017年8月) に入ってTwitterでの拡散が急増し、これまでに 300回以上ツイート・リツイート されています(2017年8月17日現在)。この反響を受けて、Wileyはこの論文を2017年9月14日まで無料公開することにしました。
- 論文 Takahara, S., Ikegami, M., Yoneda, M., Kondo, H., Ishizaki, A., Iijima, M., Shimada, Y. and Matsui, Y. (2017), Bioaccessibility of Fukushima-Accident-Derived Cs in Soils and the Contribution of Soil Ingestion to Radiation Doses in Children. Risk Analysis, 37: 1256–1267. doi:10.1111/risa.12694 (2017年9月14日まで無料公開中)