この画像は、Ag-Ptコアシェルナノ粒子のEDS (エネルギー分散型X線分光計)トモグラムを示しています。Agコアが赤い疑似カラーで示され、緑色のPtシェルで覆われています。この厚さはわずか数ナノメートルです。EDSトモグラフィー技術を利用すれば、細孔が表示され、部分的にコアも確認できます。この再構成は、個々の高品質EDSマップを使用して作成されています。可視化にはThermo ScientificTM Avizo®ソフトウェアを使用しています。
中国にある天津理工大学材料工科学部の新エネルギー材料/低炭素技術研究所電子顕微鏡センターに所属するYi DingとJun Luoの両教授は、このPt層が連続的なものか、細孔を有するのかを調べたいと考えていました。単一のEDSマップからはこの点を判断できなかったため、EDSトモグラフィーが採用されました。両教授は、画像を高速自動取得することのほか、探究していたナノスケールの具体的な詳細を確認するために極めて鮮明で最高画質のEDS結果を生成することにも着目していました。
一連の画像は、Thermo Scientific TalosTM F200X解析FEG S/TEM (走査透過型電子顕微鏡)を使用した完全遠隔制御操作(通常は夜間に無人で実施)で取得されています。
Thermo Scientific Talos F200Xは、ナノ材料に対する極めて高速かつ精密な定量的特性評価を2Dまたは3Dで実施します。この装置は、マルチチャネルのEDSで正確な画像を自動的に取得し、精密な特性評価を行って、2Dの組成データを取得します。TalosをEDSトモグラフィーと併用すると、3Dボリュームに対する解析機能が拡張されます。
Thermo Fisher Scientificが特許取得済みのSuper-X統合型EDSシステムは、4台のシリコンドリフト検出器(SDD)が対称的に配置され、毎秒最大105スペクトルを実現可能な高感度機能とマッピング機能を備えています。X-TWIN対物レンズと統合すれば、収集効率が最大になる一方で、所定のビーム電流に対して、さらには強度の低いEDS信号に対しても、比類のない計数率を達成します。
X-FEGの高輝度電子源の搭載により総電流が上昇し、標準的なショットキーFEGのビーム電流の最大5倍に達しますが、収束角が広がることはありません。EDSデータの鮮明度が上昇するため、STEM、EDS、高分解能TEMなどのアプリケーションの信号対ノイズ比が向上し、画像解像度も極めて高くなり、最高画質の結果が得られます。
Talos F200X S/TEMの特長:
- 高スループット、同時のマルチシグナル検出による高画質のS/TEMイメージングで、コントラストが強まり、情報の有用性も向上
- ユーザーフレンドリーなデジタルインタフェースと完全遠隔制御操作で使いやすさも向上
- 機器エンクロージャと遠隔操作により環境保護を強化
(情報提供: Thermo Fisher Scientific)