エネルギーを屈伸などの運動に変換する装置はアクチュエータと呼ばれ、ロボットの重要な構成要素となります。ハーバード大学・George M. Whitesides教授の研究チームは、通常は金属のように硬く重い材料で作られるアクチュエータを紙で作ろうと試み、その成果をまとめた論文をAdvanced Functional Materials誌で発表しました。材料科学のニュースサイトMaterials Viewsがその内容を紹介しています。
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Martinez, R. V., Fish, C. R., Chen, X. and Whitesides, G. M. (2012), Elastomeric Origami: Programmable Paper-Elastomer Composites as Pneumatic Actuators. Advanced Functional Materials. doi: 10.1002/adfm.201102978
材料としての紙は、折り紙のように複雑な形を作れ、しなやかに曲がるが引っ張っても伸びないという性質があります。これを利用して、紙に貼り付けたシリコーンゴムに空気を送り込んで風船のように膨らませることで、下の動画のように複雑な動きを生み出せるそうです。
Whitesides Paper-elastomer Contracting Actuator
また、細長い紙風船のように折り畳んだ紙の内部に弾力材(エラストマー)を貼り付けて、空気圧で伸び縮みさせるアクチュエータは、自重8.2gという軽さで1kgの重りを持ち上げることができます。
人体のように繊細な対象を扱うのに適した、軽く柔らかい「ソフト・ロボット」の実現につながることが期待されます。