京都大学大学院工学研究科・宇田 哲也 准教授らの研究グループは、結晶性酸化物中に4価状態で存在するジスプロシウム(Dy)を初めて確認し、Advanced Materials誌で発表しました。この論文は、Wiley-VCHの材料科学ニュースサイトMaterials Viewsで重要な発見として紹介されました。
⇒ Materials Views - A New Oxidation State for Dysprosium
希土類元素のひとつであるジスプロシウムは通常3価で安定し、これまでに4価状態での存在が確認されたのは不安定なフッ化物中においてのみでした。宇田准教授らは、ペロブスカイト型酸化物BaZrO3の結晶中で、4価状態のジスプロシウムの存在を初めて確認しました。Materials Viewsは今回の発見について、教科書の記述を書き改めさせる可能性があるだけでなく、燃料電池・触媒・酸素貯蔵といった分野への応用が期待できるとしています。
宇田准教授らの論文は、Advanced Materials誌のオンライン版でEarly Viewとして先行公開されています。(本文を読むにはアクセス権が必要です)
⇒ Han, D., Uda, T., Nose, Y., Okajima, T., Murata, H., Tanaka, I. and Shinoda, K. (2012), Tetravalent Dysprosium in a Perovskite-Type Oxide. Adv. Mater.. doi: 10.1002/adma.201200127