血液型検査キットは世の中に数多く出回っていますが、紙製で、ABO・RhD血液型の判定結果が「A +」のように文字で浮かび上がるというユニークな検査キットの試作品が、オーストラリア・Monash Universityの研究チームによって開発されました。
さらに面白いことに、開発者であるWei Shen准教授らは、この検査キットの着想を「ハリー・ポッターと秘密の部屋」から得たのだそうです。ハリーが古い日記の白紙のページに質問を書くと、その文字が吸い込まれるように消え、代わりに質問への答が文字で浮かび上がってくる…という場面をご記憶の人も多いのではないでしょうか。Wei Shen准教授らは、紙を使ったバイオセンサーの開発を研究テーマとしていて、今回のキットにはその技術が応用されています。
この技術は単に面白いだけではなく、将来的には血液型以外の医学的判定・診断にも応用でき、また開発途上国など医師や設備が不足した環境でも、簡便かつ低コストで、専門的な知識がなくても読み誤る余地がない判定を可能にするものとして期待されます。
この技術を報告する論文は、Angewandte Chemie International Editionに掲載が決まり、本日Early Viewとしてオンラインで先行公開されました。(本文を読むにはアクセス権が必要です)
⇒ Li, M., Tian, J., Al-Tamimi, M. and Shen, W. (2012), Paper-Based Blood Typing Device That Reports Patient’s Blood Type “in Writing”. Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201201822