今日からちょうど150年前にあたる1862年4月20日、ルイ・パスツールは飲料の低温殺菌法(パスチャライゼーション)に関する最初の実験を行いました。化学ニュースサイトChemsitry Viewsが解説記事を載せています。
⇒ Chemistry Views - 150th Anniversary of First Pasteurization Test
熱で殺菌した牛乳は「パスチャライズド牛乳」と呼ばれますが、この呼び名が創始者であるパスツール(Pasteur)の名前に由来していることをご存知だったでしょうか。上の記事によると、パスツールが低温殺菌法の研究に関わったのは、牛乳ではなくワインやビールが発酵過程でしばしば酸っぱくなってしまう現象の原因を調べるためだったそうです。パスツールは、この現象が有害な微生物によって起こされることを突き止めるとともに、酒が沸騰しない程度の熱を加えて殺菌することで防げることを明らかにしました。
そののち1886年になって、ドイツのフランツ・フォン・ソックスレー (Franz von Soxhlet) がこのパスチャライゼーションを牛乳の殺菌に応用することを提唱し、1890年代半ばには機械によるパスチャライゼーションが商業的に実用化されたそうです。当時は腸チフスなど牛乳中の細菌から起こる感染症が流行していましたが、パスチャライゼーションの普及によってほぼ根絶されました。
Chemistry Viewsでは、パスツールによる「キラリティー」の発見に関する記事も読むことができます。(「この化学者はだれ」という記事ですが、クイズの答がパスツールになっています)
⇒ Guess the Chemist (4)