Chemistry – An Asian Journalから、両国の化学研究の絆と最先端を伝える「日独交流150周年」記念号


Chemistry – An Asian Journalの最新号 (June 2012: Volume 7, Issue 6) は、日本・ドイツ両国の交流の歴史を祝う「日独交流150周年」の掉尾を飾る記念特集号として発行されました。
 ⇒ Chemistry – An Asian Journal: Special Issue: 150 years of German-Japanese relations

1861年は、日本とドイツ(当時はプロイセン)の外交関係の起点となった修好通商条約が締結された年です。その後150年の間に脈々と続いてきたさまざまな分野での交流・協力の歴史を祝福し、両国の絆を確認するため、2010年10月から「日独交流150周年」を記念する各種イベントが開催されてきました。昨年6月に東京工業大学で開催された「日本・ドイツ化学シンポジウム」(日本化学会・ドイツ化学会共同主催、東京工業大学共催)もそのひとつで、両国の間で特に重要なものであった、化学研究の分野での長年の交流を記念するものでした。

今回の記念号のEditorialは、Gerhard Erker(ミュンスター大学教授)、岩澤康裕(電気通信大学特任教授・燃料電池イノベーション研究センター長・日本化学会前会長)、奥田純(アーヘン工科大学・無機化学研究所教授)、巽和行(名古屋大学物質科学国際研究センター教授・IUPAC President)という4人の先生方の共著によるもので、長井長義(1844–1929)・星 一(1873–1951)といった日独の化学交流の先駆者の業績を回顧するとともに、クロスカップリングなどの分野の進歩に両国の交流が果たした役割を論じています。(無料公開)
 ⇒ Erker, G., Iwasawa, Y., Okuda, J. and Tatsumi, K. (2012), Cooperation through the Decades. Chem. Asian J., 7: 1120–1121. doi: 10.1002/asia.201200294

また富山県立大学・浅野泰久教授ほかによるエッセイは、三十年以上の伝統を持つ「日本-ドイツ酵素工学会議」(Japanese-German Workhop on Enzyme Technology)に焦点を合わせ、日独両国における生体触媒技術の発展と、その背後にあった学術交流・技術協力の歴史を振り返ります。(本文を読むにはアクセス権が必要です)
 ⇒ Gröger, H., Asano, Y., Bornscheuer, U. T. and Ogawa, J. (2012), Development of Biocatalytic Processes in Japan and Germany: From Research Synergies to Industrial Applications. Chem. Asian J.. doi: 10.1002/asia.201200105

これら化学史的な論文の他にも、日独両国を代表する豪華な顔ぶれの化学者による30報以上の論文を収載し、非常に読み応えのある特集号となっています。ぜひご一読いただき、両国の化学が相互交流を通して到達した地点をお確かめ下さい。 ⇒ Table of Contents

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