サウスカロライナ大学のXiaodong Li教授らは、綿の布を加工して活性炭に変え、充電式バッテリーのように充電・給電が可能な蓄電装置「超コンデンサ」として利用する技術を開発しました。実験には、スーパーで$5で買ったコットンTシャツを使ったそうです。
綿の布を加工してエネルギー貯蔵機能を持たせる試みは近年数多く行われていますが、耐久性・製造コスト・工程中の化学処理で発生する環境負荷などの課題を抱えていたそうです。Li教授らの実験では、フッ化ナトリウム溶液に漬け込んだ綿のTシャツを、熱乾燥ののち高温で熱し、布のように折り畳み可能な活性炭に変えました。これを酸化マンガンの薄膜でコーティングすることで、超コンデンサとしての機能を持たせることができ、エネルギー貯蔵が可能となりました。先行する試みと比べて工程が単純で、これまでの課題をクリアできたそうで、布をベースにした蓄電デバイスの実用化に向けて一歩前進しました。
オーストラリアの科学ニュースサイトABC Scienceに掲載された記事によると、Li教授は、この技術が将来的には「丸められる携帯電話」や「学会発表で使える電子ポスター」への給電に使われることを期待しているそうです。
⇒ ABC Science - Cotton t-shirt to charge mobile phones?
Li教授らの研究成果の詳細は、Advanced Materials誌に論文として発表されました。(現在無料公開され、どなたでもお読みいただけます)
⇒ Bao, L. and Li, X. (2012), Towards Textile Energy Storage from Cotton T-Shirts. Adv. Mater.. doi: 10.1002/adma.201200246