スイスのルツェルン湖畔で毎年開催される化学の国際会議 Bürgenstock Conference が、今年も4月26日から始まります。同会議が初めて行われたのは1965年なので今年で満50年、また1990年は会場となっていたホテルの改築工事のため中止されたので、今年の会議がちょうど第50回にあたります。
同会議は、参加者数120人程度の小規模ながら、高い学術的水準とリラックスした雰囲気によって国際的にきわめて高い評価を得ています。その記念イヤーに際し、1982年から2009年まで組織委員会に参加したKlaus Müller氏が、同会議のユニークさとここまでの成功に導いた秘密を語るエッセイをAngewandte Chemie International Edition (ACIE) に寄稿しています。
- Essay Müller, K. (2015), 50 Years in the Sun of Bürgenstock—On the Success Factors of a Famous Conference. Angew. Chem. Int. Ed., 54: 5012–5017. doi: 10.1002/anie.201501161 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
- 紹介記事 50th Anniversary of the Bürgenstock Conference (April 24, 2015, Chemistry Views)
Müller氏は同会議のユニークな特徴として
- 毎回の会議では取り上げる主題を少数に抑え、それに関する世界的権威を講演者として招く
- 1時間の招待講演と30分間の質疑で、参加者が多角的な視点から議論する
- プログラムは当日まで明かされず、広範な主題に知的関心をもつ化学者だけに参加させる
- 約120人が全会期を通じて参加、中身の濃い交流をもつ
といった点を挙げています。Müller氏のエッセイには、招待講演の内容的な内訳など同会議の歴史に関する豊富なデータも収められています。会議の模様を伝える写真も掲載され、同会議に参加した経験のある方は記憶を新たにすることができるのではないでしょうか。
またACIEの同じ号のEditorialでは、1984年の会議に学生スタッフとして参加したJay S. Siegel教授(天津大学)が当時の思い出を綴っています。併せてお読み下さい。
- Editorial Siegel, J. S. (2015), Half a Century of the Bürgenstock Conference: A Pilgrim’s Tale. Angew. Chem. Int. Ed., 54: 4974–4975. doi: 10.1002/anie.201501954 (無料公開中)